2002-03-17 2002年3月某日 [長年日記]

_ 「なぐさめて、抱きしめて」

1年ぶりに若い友人たちに会う。社会人になってもうそろそろ3年、という人たちが中心で、今回はその1年上と1年下がひとりずつ加わって、わたしを入れて10人。何とはなしに、毎年だいたいこの時期に会って飲み、というのが定着している。

留年してようやく大学を卒業した後、また別の大学に編入学してこの春卒業、というのいるかと思うと、1年前にあっと驚く「彼女できました」宣言をした人が、なんと5月に結婚式を挙げるといってちゃんと彼女を連れてきたり。そうかと思えば、就職した先の健康診断で初期の癌が見つかり、過酷な抗がん剤治療に耐えてひとまず安心な状態になったものの、現在も自宅で療養継続中という人がいたり(彼の病気のことを知っているのは、私とあとひとりだけなのだが)。さらに、航空会社の客室乗務員をしている人が、新千歳往復のフライトを終えたあと、送りの車を待たせて2軒目の店にちょっと顔を出してくれたり。あるいは、今もって一番頼りなげな人も、11時出社21時退社、という、それってフレックスに甘えてない?というような勤務でも、上司もルーズなのでオッケーなんで、と笑っていたり。

今日来なかった人の消息もちらほら出てきて、あの大学卒業後ぶらぶらしていた人が、郷里に戻って陶芸の修行を始めた、とか。え?と聞いたら、実は家族全員陶芸家で、本人のおじいさんは人間国宝だという、とんでもない事実を今頃知ってびっくり。

1年ぶりでも、なんだか変わらずわいわいと賑やかで、笑いながら失敗談やら愚痴やら、ちょっとした自慢やら。それぞれ仕事やプライベートでいろいろ苦労しているのだろうけど、そんなことを笑い飛ばしながら新宿で飲んだ。

中でも、留年に編入でようやく社会人になる人は、実は4月からの身の振り方はまだ決まっていないらしい。でも相変わらず元気がよく、今年のモットーは「なぐさめて、抱きしめて、ですよーん」と言いながら、やたらとみんなの頭をなでなでしたり、ほんとに抱きついたりして、自分を笑い飛ばしていた。わたしも思わず、そのことばいいねえ、と、復唱してみる。

いいんだよ、これで。来年はまたどうなっているかわからないけど、いいんだよ、それはそれで。「なぐさめて、抱きしめて」そうやって、いまこの瞬間にお互いの体温を感じられるから、いいんだよ。

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_ dd (2002-03-18 00:25)

中ほどの「大学卒業後ぶらぶらしていた人」というのは正しくないな。彼が何をしているのかわたしがよく知らなかっただけなので。(なんかこのごろ、ぱぱっと書いて登録して、読み直して、ちとまずいと思った表現をツッコミで補足するパタンだな。まあ、いいか悪いかわからないけど、ツッコミの使い方のひとつということで。)