2002-03-01 2002年2月某日 [長年日記]

_ 浮き浮き

最近のわたしの通勤の楽しみは、満開の梅。途上のいくつかの地点に、たくさんの梅の木が植えられているところや、贅沢な造りの庭の塀越しに、見事に手入れされた紅梅が1本ちらと見えるところや、何のへんてつもない空き地に、少し行儀の悪い枝ぶりで花もまばらな白梅がポツンと立っているところなど、車を運転しながらも、ポイントポイントで目をそちらにちらっとでも走らせて、花の存在を確認する。

花が開いているのを見るだけで、どうしてこうも浮き浮きした気分になるのだろうか。もちろん花の種類や季節によって、花を見たときの気分は違うのだが、春の梅は、桜より早く、しかも桜よりゆっくり眺められるからか、持続した浮き浮きを楽しめる。

で、今日は、梅ではなく、桜並木を通って、娘の学習発表会を見に小学校にでかけた。かさをさすほどではない霧雨の中、どんよりした雲の多い空を背景にした桜の枝を見上げると、まだ固く閉ざされているもののだいぶ大きくなったつぼみから、淡い花の色がわずかに溶け出しているかのように、空がうっすら色づいて見える。今年は桜の開花も早いのかもしれない。

学習発表会は、息子のときほど整然としていないのが1年生らしいところだが、ひとりひとりが緊張しながらも精一杯役割を果たしているのがわかった。先生たちが、手助けしたり、説明したりする出番も多い。

そういう中でわたしが、あっと思ったのは、去年の4月、1年生の担任の中にただひとり、まったくの新人として加わった若い男性教員の姿だった。急遽決まった採用で、現場のことはこれから少しずつ覚えます、と小さな声で挨拶していた人だ。その頃は、実際にとても頼りなげに見えたのだが、1年近くたった今、生徒たちをとりまとめる態度も、また、マイクを持って話をする時も、さらに、同僚の年長の教員をサポートするしかたも、堂々として自信に満ちたものだった。

そうか、1年前、この人はつぼみだったんだ。しかも、中に立派な花びらを隠しもっていた、素敵なつぼみだったんだ、と思う。それが見事に開花した、その晴れ晴れとした姿を見た思いがした。浮き浮きした。

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_ dd (2002-03-01 22:15)

昨日の分に、補足がありますので、よかったら読んでください。
あと、今日はいい日でした。いい緊張、いい語り合い、いい収穫。ありがとう。