2002-03-19 [長年日記]

_ 生湯葉

今月2度目の京都。

仕事を終えたあと、たまたま見つけた店で生湯葉を買う。こちらが関東の人間とわかって、店の女性が、帰宅までの時間は?と尋ねてくる。「今日は京都泊まりなので、ホテルに着いたらすぐ自分で食べちゃいますから。」と笑って答える。

「じゃあ、わさび醤油がいいですよ。」と言われて、店にあった醤油の小びんも包んでもらう。女性が「わさびもこのへんに。」とクーラーの中を探してくれたのだが、ちょうど切れていてなかった。

すると、豆腐料理を出す店の調理場に声をかけて、料理用のわさびをひとつまみラップにくるんでくれた。さらに、醤油の壜、一度あけると、持って帰る間に中の醤油が口から沁み出すといけないから、とビニール袋もわけてくれる。

数々の親切に感謝して、生湯葉とごま豆腐を下げて店を出る。

夕食を終えてホテルに戻り、家に電話を入れると、娘が出る。「お土産忘れないでね」と念を押されただけで、「じゃあね」とあっさりしたものだ。

というわけで、今ひとりで、わさび醤油をちょちょっとつけて、生湯葉をつまみにビールを飲んでいる。箸がないので、指でちぎって、そのままつまんで口にほおばる。うまい。

明日は午前中の仕事が終われば午後はフリーなので、どこかちょっとだけでも歩いてこようと思う。さてと、この季節、どこがいいかな。

1年前にはこんな時間の使い方は考えられもしなかった。忙しい合間に、自分のための時間をねじこむのがうまくなったと思う。